mimiyori_mee

日々のこと

2018-01-01から1年間の記事一覧

最恋の晩餐

それは銀色の硬い種だ。細いどんぐりのような大きさで、直線の溝が数本走っている。鋼のようなチタンのような、僕はこの種の育て方を知らない。でもこの種が、何物にも換えがたい、大切な種であることを知っている。彼が意識や自我、肉体について記述すると…

僕の芝生

彼女とは11時半に八幡市駅で待ち合わせた。僕は待ち合わせや時間の約束が不得手だから、寝る前に駅の路線図や乗り換えの時間を調べていたら、なかなか寝つけず、結果相当な早起きをした。寒そうな格好をして相手に心配させるのは悪だと、たぶん萌絵ちゃん…

心が割れている

隣に住んでいる男は、スネ夫に似ている。背が低くて、髪の毛が黒くてギザギザで、いつも暗いスーツを着ている。僕より少し年下かもしれない。じめっとして、おとなしい感じがする。時々エレベーターで一緒になるけれど、おたがいに顔も見ない。スネ夫は夜中…